「砂の器」のドラマを見て
昨日・一昨日と、松本清張作「砂の器」のテレビドラマが放送されていました。私は原作を読んだことがなく、何度もドラマ化・映画化されている作品とのことですが、以前、スマップの中居正広さんが主演の連続ドラマで、その際には時代設定を現代に置き換えてドラマ化したものを見たことがありました。
松本清張作品で、原作を読んだことがあるのは、「ゼロの焦点」と「黒革の手帖」、あとは短編集を一冊、読みました。その時に感じたのは、昭和の時代を背景にしたミステリーとして、列車の時刻表を使ったトリック、登場人物の心情、日本各地の地域の風景、等、今の時代としては「古い」と思われるかもしれない作風が、逆に、私には良かったのです。ただ、自分の気持ちが「昭和の憂いのあるミステリーを読んでも大丈夫」と感じた時にしか、手に取ることが出来ないな、と思っています。
昨日・一昨日のドラマは、両日とも、後半の一時間ちょっとしか見ていませんが、十分、松本清張作品の「匂い」というのでしょうか、そういうものを感じて、涙しました。出演していた俳優さんが皆さん、有名な実力派であることと、出来る限り原作に近い雰囲気を出そうとしているのが、分かったと言うのでしょうか。
主人公や、犯人の生い立ちが、せつなく、哀しく、また昭和の戦争と戦後を描いていて、フィクションであるのだろうけど、きっと日本にはたくさん、戦後、悲しい思いを背負いながら生きてきた人々がいるのだろう、と感じました。戦後を生き抜いてきた人達の思いやその時の情景を、小説やドラマを通してでも残していくことが必要だとも考えました。松本清張作品は、そういった意味でも、今後、何度でもテレビ・映画化されて、できれば、原作に近い形で作り、現代の戦争を知らない世代の人達(私もそうですが)にも見てもらうべきだとも思いました。
やはり、広く多くの世代の人に見てもらうのは、テレビドラマや映画化された方が、現代では良いのでしょう。しかし、原作の素晴らしさはきっと、原作でないと分からないと思いますので、私もまた気持ちが読みたくなったら、松本清張作品を読もう、と思いました。
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