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栗本薫さんが亡くなった・・

 ブログを書こうとパソコンを開いて、まずはニュースを確認したら、作家の「栗本薫」さんが亡くなったことを知りました。56歳。ああ、と体の力が一瞬抜けてしまいました。

 私は実は、ファンの方には申し訳ないのですが、栗本さんの作家としての作品のファンではありません。昔、「グイン・サーガ」か「魔界水滸伝」を読んだとこがありまして、ちょっとグロイ部分が私は苦手で、それ以来、読んだことがありませんでした。しかし、去年の末頃だったか、自分の病気のことで悩んでいた時に、いろいろな闘病記の本を調べていたら、「中島梓」さんの「ガン病棟のピーターラビット」という本を見つけました。調べてみるとそれは、栗本薫さんが評論家として活動する際のペンネームで書かれている本だと知りました。早速購入し、読みました。

 「ガン病棟のピーターラビット」は、今、思いだそうとしても、内容を思い出すことがあまり出来ません。それは、あまりに自分とかけ離れた、一般的には重い病気であるはずのすい臓がんを患っている栗本さん(中島さん)の、闘病記というより、何と言うのでしょうか。ありのままの状態記であり、それでいてこれからの活動に思いを馳せる、とても重病の方が書いているような本とは思えない内容でした。前向き、という言葉を使いたくないくらい、これから生きていく中で、あれもしたいこれもしたい、というか「する」という感じで書いてあるのです。しかも現状の病気の状態もそのまま書いてあった気がします。その内容が私にとって圧倒的に迫ってくる思いが強くて、一度読んだら読み返すことが出来ませんでした。でもいつかまた読み返す時が来るだろうと、本棚のどこかにしまってあります。それからは、「栗本さんは元気だろうか」なんて、知人でもないのに思うことが、しばしばありました。

 作家・評論以外にも、バンド活動やミュージカルの脚本を手がけたり、長唄・三味線などの名取だったり、着物が大変お好きだったりと、趣味の枠を超えた様々なことに挑戦されていて、本当に活動的で驚きました。またそれらが出来る才能をお持ちなのだと感じたのですが、何よりもご自分が好きで、いろいろなことにチャレンジしている様子が、私にとっては大変感銘を受けた部分でもありました。私はベーチェット病でも今はなんとか落ち着いている。自分でも出来る範囲でやりたいことをやらなければ、と思わせる力のある内容の本(「ガン病棟のピーターラビット」)だったのです。きっとご本人はそんな風に思わずに、淡々と書いていたのかも知れませんが、読んでいる方がことの重大さに驚いて、思わず大作家でも心配せずにはいられない状態だということが、よく分かる本でした。

 栗本さんが亡くなったニュースは、ショックでもあり、きっとしたいことを思う存分されたのだろう、いやまだ足りなかったかな、と思うところでもあります。ご冥福をお祈りすると同時に、どこかの世界でまたいろいろなことに挑戦して頂きたいな、とそんな風に思いました。

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