恋愛小説
いわゆる不倫の恋愛小説なのですが、素晴らしい本を読み終えました。高橋治著「風の盆恋歌」。
風の盆恋歌 著者:高橋 治 |
舞台は、あえて言うなら、富山県の八尾。おわら風の盆のお祭りが、物語の重要なカギとなっています。主人公の男性と、高校時代からの特別な存在だった女性が、30年の時を経て、八尾の風の盆で結ばれることになります。それぞれが違うパートナーと過ごしてきた日常がありながら、お互いに忘れることが出来なかった存在。30年もの間に何度となく出会いながらも、あえて踏み出そうとは思えなかった関係から、八尾でのおわらの夜を過ごしてしまってからの、二人の感情。そして、その周囲での出来事。不倫と言う愛かもしれないけれど、二人の想いは、そんな言葉では言い表せない物語となっています。
上記に載せた単行本だと、表紙がまず、素晴らしい。私は単行本で買って良かったと、つくづく思いました。読み終わってから表紙を見ると、よく分かります。ストーリーは、私が読んだ恋愛小説の中でも、1、2を争うほど良かった。(と言っても、それほど恋愛小説は読んでいないかもしれませんが)富山八尾の「おわら風の盆」が、情緒豊かに、まるで頭にうかんでくるように、自分までそこで見ているかのごとく、表されていました。私は実は、富山県に住んで2年目ですが、去年はおわらを見ることが出来ませんでした。
私は金沢に住んだときには、「ゼロの焦点」「利家とまつ」など、石川県を舞台にした本を読みましたので、富山に引越してきてから、富山に関する小説など、探していました。以前、義理の母が宮本輝著の「蛍川」を貸してくれて読んだくらいでした。他に何かないかとネットで検索していたら、確かこの「風の盆恋歌」を見つけたのです。それから手に入れるまで時間がかかりましたが、今回読んで本当に良かったと思っています。私は一度読んだ本を、もう一度読み返すことはめったにありませんが、この本はもう一度じっくりと読んでも良いと考えています。
不倫という恋愛が嫌だ、許せない、という方はダメかもしれませんが、そういうことを感じさせない、大変綺麗な美しい文章です。この本を読むと、八尾のおわら風の盆を見に来たくなるかもしれないでしょう。しっとりとした素晴らしい恋愛小説でした。
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