お守りのネックレス
私には、必ず付けていたネックレスがありました。特に出かける用事で、アクセサリー的なバランスで、つけるとおかしいなと思うとき意外は、とにかくいつも、毎日、お風呂も寝る時も外しませんでした。金のネックレスで、少し長めの、少し太めで、ちょっとのことでは切れないような、ネックレスでした。これは自分のために、自分で買った、お守りのような物でした。
一度目の結婚生活で、本当に経済的に苦しくて、それでも就いた仕事に恵まれ、楽しみながらも、体力的に当時の限界の状態まで、毎日頑張って働いて、家事をして、生活をして、でも自分のための物を買う余裕が出てきたのは、結婚してから4年くらいたってからだったでしょうか。それまでは、自分は後、とにかく夫のことは世間様にそれなりに見られたいと、夫の物を優先して買っていました。自分はどうしても欲しくなれば、洋服でもアクセサリーでも、できるだけ安い物、500円とか1000円とか、そういう単位で買っていました。実家の両親が見かねて、帰省したときにスカートなど買ってくれたものでした。それでもその当時は、幸せだったのです。ただ、いつの頃からか、頑張ってきた自分が疲れ始めて、自分のために少し、贅沢というか、好きなものを一つでも買いたいと思うようになりました。それが、金のネックレスでした。
母親が昔、金のネックレスをずっとつけていたのを知っていました。今はもう、つけていません。多分、おしゃれだったのだと思います。それへの、あこがれもあったのでしょうか。私は、生活の苦しい状態から始まって、結婚生活4年目くらいから、徐々に余裕が出始めて、少しずつお金を貯めて、実家に帰省した際に、父親に教えられた、御徒町の貴金属のお店がたくさんあるところの一つのお店で、自分のために始めて金のネックレスを買いました。12,000円くらいだったと思います。そのときから、ほとんど肌身はなさずつけていました。今から8年くらい前になると思います。それ以外に自分の高い買い物は、親友の結婚式に出る際に、着ていく服がないので、ツーピースを買ったくらいでしょうか。3万円くらいでした。もちろん今でも持っています。ただ、自分の贅沢というか、自分のためだけに買った高価な物は、その金のネックレスが、一度目の結婚では最初で最後でした。
お守り、だったのだと思います。その金のネックレスを毎日つけて、今日も頑張るという、お守り。毎日忙しさに追われて、結局、自分の夫が他の女性に、気持ちが傾いていることにも、半年以上気付きませんでした。離婚してからも、このネックレスだけは、なぜか外せませんでした。つけていないと不安だったのです。つけているのが当たり前だったのです。
しかし、何がきっかけになるか分かりませんね。今は、そのお守りのネックレスを、もう、つけていません。大切にしまってあります。きっと時々、外出の際に、つけたりするのかもしれませんが、もう毎日肌身はなさずは付けていません。心の中で、何か吹っ切れたのかもしれません。ああ、もう大丈夫だ、と。不思議だなあと、自分でも思いました。あんなにこだわっていたのに、ある時、ふと「もういい。」と思うようになるのですね。ネックレスには、充分、守ってもらいましたし、助けてもらいましたし、勇気ももらった気がします。辛いときも悲しいときも、楽しいときも、病気の時も、ずっと一緒でした。このあたりで、ネックレスには少し、休んでもらいましょう。ありがとう、金のネックレスさん。
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